今井リサ弟削除事件に見る読者の作品介入

 先日、とあるソーシャルゲームのキャラ設定についてネット上で物議を醸したことをご存知だろうか。
『バンドリ』・ BanG Dream! ガールズバンドパーティ!というゲームに登場するキャラクターに弟がいるということが発覚し、トレンドに入るまでの騒ぎになった。

「いやぁぁぁぁ!なんで男がいるのぉぉぉ」
 などという短絡的な嫌悪感によってここまで騒動が過激化した訳では無い、ということは明記しておこう。
 単なる『百合ファン』による暴動でもないということも。

 まずバンドリというゲームのあらましについて説明しよう。
 元はこのバンドリという企画はメディアミックスプロジェクトであり、バンドのメンバーがキャラクターの声優を担当するという特徴がある。
 今回騒動となったスマホアプリはこの企画に基づいて開発、運営がされているものだ。
 ジャンルとしてはリズムゲームにあたり、各キャラクターと関わりながらストーリーが進んでいく。

 特筆すべきはこのゲームにプレイヤーキャラは存在しないということだろう。
プレイヤーキャラとは、主人公の分身としてストーリーを進める存在だ。他の人気スマホゲーFGOの「ぐだ男・ぐだ子」や、白猫プロジェクトの「赤髪」、プリコネの「ユウキ」、アイマスシリーズの「Pヘッド」が挙げられる。
※人から大分前に聞いた話なので、実際に違っていたらすいません

 バンドリの場合プレイヤーは言わば壁や天井であり、キャラクターのストーリーを眺める存在でしかない。つまりは傍観者だ。
 女の子の関わりとはつまり百合であり、それに干渉しない立場をキープできるということから百合好きにも人気があったと聞いている。

 以上の説明を踏まえた上で騒動の核心に触れる。今井リサの弟についてだ。

 正直に言ってしまえば私はバンドリ未プレイであり、記事の内容も見聞きしたことや伝聞・推定が主になる。そこに関しては申し訳ないが中立な立場として解釈して頂きたい。あと間違っていたら教えてほしい。

 私のように未プレイの方に向けてこのキャラを説明しておこう。今井リサはギャル調のチャラ目な見た目だが、周囲への気配りを忘れない面倒見のいい性格。料理が上手だったり編み物が趣味だったりと少女趣味が見られる。
 幼馴染である湊友希那というキャラに対して非常に大きな感情を抱いており、彼女を支えたいと思っているようだ。

今回の炎上事件はそんな彼女に弟がいるという事実が突然発覚したことが原因だ。

 なぜ弟がいることがこんなにも問題視されることになったのか。
 それはこれまで積み重ねてきたストーリーに対して矛盾が生じる、というのがプレイヤーと運営側の見解である。

 彼女はこれまでに「おねーちゃんって大変なんだねえ」と発言していたほか、今まで弟の存在について全く触れてこなかった。この拭いようのない『違和感』はバンドリというストーリーを愛好していたものほど反発を抱くだろう。
 加えて彼女の面倒見のいい性格は幼馴染である湊友希那によって培われたものという見方がされており、その由来がぽっとでの弟によるものということに思うことがあるらしい。

 また、これは少々憶測を含む話になるが百合好きのユーザーほどこの手の話題を受け入れがたいということもあるだろう。
 百合好きの多くは程度の差こそあれストーリーに男キャラが出るのを嫌う。百合アニメでは完全に排除されていることも珍しくなく、下手に男を絡ませると荒れかねないのも事実だ。

 だがこの事件に関してはただの百合好きの暴動という言葉で片付けられるものではないということは明記しておこう。
 正直なところ妹ならここまでは荒れなかったと思うが、それでも仮に妹だった場合も反発は上がっていたと思う。なぜなら問題は突然出現した『異物感』なのだから。

 今回はユーザーのい訴えが公式に届き、公式もまたそれを理解して弟設定を削除するに至った。
遺恨は残るだろうが最も円満な解決といえるだろう。
 ここでおまけ程度に考えておきたいのだが、読者の作品への介入はどこまで許容できるのだろうか。読者と公式の『解釈違い』はたびたび話題に上がるが、大抵の場合は公式は常に絶対かつ正義であり、好き嫌いはあれど作品に修正を求めるのはあまり聞かない。

解釈違いの例を挙げれば
・冷静沈着なキャラのキャラソンがサンバだった
・料理人キャラが弁当にカミソリを入れていた
・高潔な精神を持つヒーローが「ハイル・ヒドラ」とか言ってた
・くまとみこのアニメの最終話が鬱だった
・アニメ二期に急に弟が出てきた
・アニメ二期で制作会社が変わった
とかだろうか。

 公式が正義であり続けるのは、大多数がその判断に賛同しているからだ。
それを裏切るような展開が続けば愛想をつかされかねないということは留意すべきだろう。夢オチであったり、キャラの性格を踏みにじるような行動だったりなどは嫌われる。
 とはいえ、読者の声が大きすぎるのも考え物だ。

 以前眼鏡キャラが突然眼鏡をはずしたことが読者の反発を招き、作者がツイッターで声明を発表するということがあった。
 眼鏡キャラが眼鏡を外すことをタブー視する人は多いもの、この事例に関してはやりすぎかもしれない。他にも動物ヒロインが人間化したり、幼女キャラが成長したりなどをいわゆる『タブー』とみる人はいるかもしれないが、それは絶対のルールなどではなく、作者は自分の思ったように話を展開する自由がある。
 もちろん読者にも嫌う自由はあって前肯定しなけばならないわけではない。二つの権利のぶつかり合いは一言でかたずけられるものだはない。

 長くなってきたのでそろそろまとめに入り、今後の行方について書いておこう。
 結論から言うとこれもう終わった話であり、これ以上何かに発展することはないと思う。

 ユーザーが反発を示し、公式も矛盾を認めて修正した。
 これで終わり。弟はその存在が『無かったもの』になったのだ。

 ネット上の愉快犯の方々は「百合豚」だのなんだの理由をつけてこの騒動を茶化すかもしれないが、そもそもユーザーかどうかも怪しい外部の人間の興味は長続きしない。
1,2週間も経てば全て終わっている。

 今回のケースはライターが複数いる作品などでは起こる可能性のある事件であり、注意して避けるべきだろう。設定をシェアするシェアワールド作品では世界観・設定の統一に気を付けなくてはならない。

 以上、解散。感想は受け付けますが、きつい言葉は泣いちゃうのでやめてください。

彼(彼女)らが最初太もも展覧会を攻撃したとき

※追記

開催場所のゾーニングについては考慮するべきだったかもしれない。

 

「太もも展覧会 中止」

 

私はこのニュースで初めてそんな展覧会があったことを知り、中止になったのを残念に思った。

私はこの展覧会にも太ももにも興味は無いし、行きたいとも思わない。

 

しかし私は中止になってしまったのが残念で仕方がなかった。

 

__________________

 

多くの人から抗議の声が寄せられたらしい。

性目的の消費だのなんだの。

まあ結局のところ『私』が気に食わないからやめろということだろう。

 

私はこの理由でイベントが中止になってしまうことに強い危機感を感じる。

世の中の誰にも不快に思われない表現というのは不可能なのだ。

 

可愛い犬猫展覧会とかでも犬猫嫌いからしたらおぞましいイベントに思われるだろう。

世界の蛇展覧会でも蛇好きにとっては素晴らしく思えるが、そうでない人にはそうでないように。

 

「この場合は性的な問題だから違う」と思う人もいるかも知れないが、同じことなんだ。

色々な理由をつけたがるだろうが、モデルが同意したならそれは他の人が口を出すべきではない。

貴女はモデルではないのだから、貴女が無理やり撮らされたわけではないのだから、貴女にとっては絶対にやりたくないようなことであっても、文句をつける筋合いはない。

 

『私は太ももなんか好きじゃないから関係ない!』と思うのが一番危ない。

 

これがBL展覧会でも、生け花の展覧会でも、世界の靴下の展示でも、男性の鎖骨展示会でも同じこと。

人それぞれ好みがあり、不快に思う人もいるということに違いはない。

 

自分がそれの良さを【理解】できないのは全く問題ない自然なことだ。

しかし『否定』してはいけない。

自分が【理解】できないのを理由に『否定』してしまうのは最悪の行動だ。

私は世の中の差別はこれに起因すると思う。

 

私は太もも展覧会が好きではないし、好ましいとは思わない。

でもそれを好きだという人を否定はしない。

 

__________________

社会が最初太もも展覧会を攻撃したとき、私は声をあげなかった。

私は太ももが好きではなかったから。

 

ペット飼育者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった。

私はペットを飼っていなかったから。

 

社会が妊婦を攻撃したとき、私は声をあげなかった。

私は妊婦ではなかったから。

 

そして、彼(彼女)らが私を攻撃したとき

私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。

 

__________________

彼らが最初共産主義者を攻撃したとき - Wikipedia

これはマルティン・ニーメラー氏のスピーチのパロディ(?)である。

 

これをセンスのないニーメラー氏への冒涜ととるか、なかなか面白いジョークだと思うか、どう思うかは貴方の自由。

 

でもどちらにしろ、それをやめさせる権利は貴方にはない。

 

※本文で出された例で気を悪くした方がいたら大変申し訳ございません。